それでも、抗う|エッセイ・意見

日本が武器を売る国になる?武器、売る側と買う側どちらが悪いのか。【防衛装備移転三原則】

2026年4月、自民党が「5類型」撤廃案を了承した。

これまで日本が輸出できる装備品は「救難・輸送・警戒・監視・掃海」の5用途に限られていた。
その制限を撤廃し、ミサイルや護衛艦など殺傷能力を持つ武器も輸出できるようにする。防衛装備移転三原則の運用指針が、4月下旬にも改定される。殺傷力のある武器を搭載していても輸出可能になる。

1976年から約50年間、武器輸出を原則禁止することは敗戦国として日本の反省だと思う。
その歯止めを、今、自民党は自ら外した。

私はこれに明確に反対したい。


売る側と買う側、どちらが悪いのか

武器を売る側と買う側、どちらが悪いか。

「どっちも悪い。時と場合による。」は一見フェアに見える。けどこの中立こそ思考を止めやすい答えだと思っている。このことに限らず強者と弱者を同列に置いて、被害者と加害者を同じ土俵に立たせてる。もう少し意見を持ちたい。そのために解像度を上げたい。

私の立場としては武器は、売る側が悪い。

もちろん買う側(武器を取引する国)にも責任はある。需要を作り、使うのは買う側だからだ。ただこの記事で問いたいのは、日本が新たに「売る側」に加担したことだ。

もちろん、話はそう単純じゃない。「売る・買う」の二項対立だけじゃ足りない。


売春買春の話を

少し遠回りに聞こえるかもしれないけど、売春買春の構造を補助線に使うと武器の話が鮮明になると思う。

私は売春買春については、買う側が一方的に悪いと思っている。
買う側の需要が市場を作り、買う行為そのものが搾取の構造を成立させるからだ。

他方で武器は売る側が悪い。
売春買春は買う側が悪い。一見バラバラだけど、論理は同じだと思う。

「その取引の構造を能動的に作った側が悪い」

武器は今の日本が先に市場を開拓しに動いてる。売春買春は買う側が需要を作り続けている。
「やめてほしい相手」が違うだけで、軸は一本だと思う。

そして「売る・買う」の外にも役割があるし、3者で考えるともっとわかりやすいと思う。

売る側:武器なら防衛企業・愚策な日本、売春買春なら業者・斡旋業者
買う側:武器なら取引国、売春買春ならおじさん
売らせる側:武器なら防衛産業界・ロビイスト、売春買春ならポン引き・スカウト業者

そして、買いも売りもせず黙認/反対する人(私たち)

自分で手を下さなくても、場を作った側・促した側にも責任がある。
そして多くの場合、最も罪が重いのは「売らせる人」だ。

売春買春で言えば、最も悪いのは業者(事務所・ポン引き)だ。被害者を商品化してシステムを作り、利益を得る側。

武器輸出に当てはめると、その「業者」に日本がなった。

→ 最も悪い(業者):日本国家
→ 中間(加害的だが資本主義の構造にある):防衛企業
→ 悪い(買う人):武器を買う国
→ 最終被害者:武器で死ぬ人

悪い人ほど、被害者から遠い場所にいる。この構造にいつもいつもまいどまいど辟易とする。

武器を売っても、死ぬ現場には立ち会わない。企業の役員室や永田町に戦場はない。距離って罪悪感や倫理観を消してるのか?とおもう。


賛成派肯定派の論理

賛成側の論理は大きく3つある。

武力をもって防衛力を強くして戦争を抑止するという「抑止力論」
売れないと防衛産業の技術が廃れるという「産業基盤論」
米国一辺倒から脱却するという「同志国連携論」

だ。
どれも「なるほど」と思えなくもない。
だからこそ丁寧に対話していく必要がある。各論への反論は別記事にまとめる。


需要があること、それ自体がおかしい

一度売り始めると、防衛産業が育ち、雇用が生まれ、企業が利益を得る。するとその産業を維持するために何が必要になるか。

需要だ。

売れなければ産業が死ぬ。だから「脅威」を強調する。緊張を煽る。紛争が長引くほど武器は売れる。平和になると困る構造が、静かに出来上がっていく。

そして戦争に近づく。本質的な平和から遠ざかる。

「需要があるから供給する」は、論理のように見えて言い訳だ。需要があること自体がおかしい、という立場に立てるかどうか。
性産業も体を買う需要があることはおかしい。人を殺せる武器を必要とする状況があることもおかしい。

その「おかしさ」から論点を「じゃあ誰がどうなぜ売るか」という話に移行したとき、問いはすでに負けている。


さいごに

今日から日本は、武器を売る国の仲間入りをする。わたしたちの国が殺人に加担してしまう。

何度も言うけど、売る側が悪いと私は思っている。そして今、日本はその「売る側」になろうとしている。

被害者は遠い場所にいる。戦場は見えない。誰が死んだかも、届かない。

その構造を知った上で、それでも「仕方ない」と言えるかどうか。それが、問われていると思う。


この記事に関連して、今後2本書く予定です。
①「抑止力論・産業基盤論・同志国連携論」賛成派3論への反論
②「体を売るのは誰のせいか」売春買春の3者構造について

【参考情報源】

・日本経済新聞「自民党、装備品輸出「5類型」撤廃案を了承 事実上の全面解禁へ」2026年4月14日)